アジアへの輸出がEUの債務危機で総崩れ--輸出入とも今年1Qに底打ちも下期は回復期待遠のく

摘要

レアメタルの今年上半期（1～6月）の貿易総額（輸入·輸出の合計）は，EUの債務危機に端を発した世界経済の減速感を受け，1兆54億円で前年同期比23％減少した。ユーロ加盟国の債務危機は11年秋頃からギリシアで深刻化し，スペインやイタリアにも波及し，中国などアジア諸国はEU向けの輸出が落込み景気減速が続いてきた。日本需要家の多くは，今年初めに在庫調整を終え，輸入額?輸出額は1～2月に底を打ち回復に向ったことから，下期の見通しは今年の春先まで「EUの債務危機が解決し，夏頃から回復に向う」との楽観的な見通しが強かった。だが，ここにきて早期の回復期待がしぼんでいる。債務危機は，ユーロ加盟国同士の政治的な立場の違いから抜本的な対策が難しく，問題解決に時間がかかるとみられている。EUや日本は緊縮財政に舵をきりつつあるが，比較的に好調だったアメリカも13年にブッシュ政権時の減税が相次いで失効し，歳出の自動削減策の初年度に入ることから「財政の崖」と呼ばれる急激な緊縮財政に懸念が強まる。政治指導部が交代する中国だけは，新指導部が大規模な景気刺激策に乗出すとの期待もあり，世界経済はリーマンショック後の低迷時と同じく中国頼みの状況に陥っている。