農業生産現場における簡易農薬残留分析システムの応用と普及

摘要

2001年から2002年にかけて，輸入農産物からの残留農薬検出や国内での無登録農薬使用など，残留農薬に関するさまざまなニュースが日々報道され，残留農薬への社会的関心は急激に高まっていた·生産現場では，生産者が流通や販売ルートから農産物の安全性の証明を求められ，残留農薬の出荷前検査を余儀なくされるなど混乱が見られた．このような背景の中で，筆者らは生産現場を対象に農薬自主検査システム導入のための技術支援に取り組むこととなった．支援対象である現地システムは岐阜県と埼玉県で異なっていたが，いずれも残留農薬の測定方法にイムノアッセイを利用した残留農薬簡易分析キット（以下，キット）を選定しており，このことからお互いに情報を共有しあい課題解決に向けて取り組みを進めた．