ヒト培養細胞内侵入Haemophilus influenzaeに対する トスフロキサシンの影響 インフルエンザ菌による小児急性中耳炎反復メカニズムの 視覚化と治療の可能性一

摘要

急性中耳炎のニ大起炎菌の1つであるnontypeable Haemophilus influenzae (インフ ルェンザ菌）は，宿主細胞内に侵入することにより小児急性中耳炎の難治化（遷延 化，反復化）に影響すると考えられる。本研究では，ヒト培養細胞に侵入したインフ ルェンザ菌の動態をネ見覚化するとともに，ヒト培養細胞内に侵入したィンフルェンザ菌に対するニューキノ ロン系抗菌薬のトスフロキサシンおよびセフヱ厶系抗菌薬 のセフジトレンの影響をin vitroにて検討した。その結果，①インフルエンザ菌はヒト細胞内に侵入すること，②セフジトレンはヒ ト細胞内のィンフルェンザ菌に影響を与えないこと，③トスフロキサシンはヒト細 胞内に侵入したィンフルェンザ菌に対し殺菌的に作用することの3点が示唆された。以上の成績は，トスフロキサシンの小児難治性中耳炎に対する高tゝ臨床効果を支 持するものと考える。