高用量メロぺネ厶投与により治療し得たB群溶血性レンサ球菌による成人髄膜炎の1例

摘要

高用量メロぺネム投与により治療し得たB群溶血性レンサ球菌III型による成人髄膜炎 の1例を報告する。67歳，男性。腰痛，発熱，嘔吐，けいれんを主訴に受診。40歳時に 脊髄腫瘍摘出術施行の既往歴があった。現在，ディサービスを受けている。受診時，体 温37.0°C,意識レベルはGlasgow Coma Scaleは5 (El，VI，M3)で，項部硬直を認め た。臨床検査では，白血球が14600/パL, CRP 4.39mg/dL,髄液細胞数の上昇を認めた。 経験的初期治療としてメ 口ぺネム1日6gと，バンコマイシンが血中濃度モニタリングに 基づいて開始された。入院4日目になっても体温37.8°C,白血球が17300/パレCRP 18.03 mg/dLと改善傾向を認めなかったため，ノマンコマィシンをリネゾリド1日1200mg に変更，メロぺネムは継続にて治療したところ，次第に解熱し，炎症所見も改善した。 髄液からはB群溶血性レンサ球菌{Streptococcus agalactiae)が検出され，血清型はIII 型であった。また，現在，日本では，髄膜炎に対するメロぺネムの投与量は1日3gまで しか承認されていないが，各種ガイドライン等では，1日6gの高用量が推奨されている。 メ 口ぺネム6gなどの高用量使用例の文献的報告もわずかであり，実臨床における臨床 データの集積ならびに臨床試験の実施が期待される。