新しい抗感染症薬としての薬剤排出ポンプ阻害剤の新たな側面多剤耐性緑膿菌に対する病原性抑制効果についての研究

摘要

最近，耐性緑膿菌，すなわちメタロβ－ラクタマーゼ産生菌や，多剤耐性緑膿菌（MDRP）が問題となっている。 2004年に国立大学附属病院で4件の耐性菌のアウトブレイクが生じており，このうち2件ではMDRPが原因であった。 また当院でも2005年にMDRPのアウトブレイクを経験した。 MDRPに対しては国内未承認のコリステンを除き，単剤で効果の期待できる抗菌薬がない。 欧米ではMRSAやバンコマイシン耐性腸球菌（VRE）のような耐性グラム陽性球菌が大きな問題となっており，抗耐性グラム陽性球菌薬の開発が盛んであるが，世界的に見ても，近い将来に新たな耐性グラム陰性梓菌に有効な抗菌薬が開発される見込みはない。