価格修正効果に原油安も加わり営業•経常増益となった製紙決算

摘要

紙パルプ関連企業の2016年3月期決算が出そろった。製紙部門を持つ株式上場10社の単純合算業績は、売上高が前期比+2.3%(955億円増)の4兆3,329億円と増収。利益面では価格修正と燃料安に支えられ、営業段階が同+36.9%(466億円増)の1,726億円(利益率3.98%)、経常段階が+9.6%(135億円増)の1,530億円(利益率3.53%)と、ともに増益。ただし大手を中心に海外事業資産の減損処理などがあったため、最終利益は△16.4%(126億円減)の644億円となっている。電力や金融を除く3月期決算企業の平均が△1%の経常減益だったことからすると紙パは健闘したようにも見えるが、実際には他業種に1年遅れて収益が回復しただけとの見方もある。また増益分には確かに価格修正効果も反映されているが、それと同等以上に大きいのは原油安の効果。つまり増益のかなりの部分を他動的要因が占めている。国内の洋紙をはじめとする既存事業の構造的マイナスを産業用紙やエネルギー、新規や海外の事業でカバーするというシナリオを各社とも描いているが、道はまだまだ半ばである。