林業復活には啓蒙だけでなくインセンティブも必要

摘要

第6回「林業復活•地域創生を推進する国民会議が去る5月16日に東京都内で開催され、約200名が参加した。同会議は国産材の需要拡大を通して地域経済の活性化を目指すべく、全国の民間企業や団体をはじめ広く国民全般にその必要性を発信し、機運醸成を図っていくことを目的に1,000人を超える賛同者を得て2013年に発足した。日本商工会議所の三村明夫会頭が発足当初から会長を務めている。当日は最初に主催者を代表して三村会長が「林業においても経済合理的な経営の視点を重視するというスタンスに立ちながら、民間企業が持つ経営ノウハウや技術力を結集して、国産材拡大の啓発とプロジェクトづくり、ひいては林業の成長産業化と地方の創生に一段と貢献していく所存」と挨拶。また共催者である美しい森林づくり全国推進会議の出井伸之代表は「森林浴や森の中で子供たちが自由に遊ぶ森の幼稚園など、森は木材としての資源利用のみならず健康や教育、観光などへの利用が期待されるなど、大きなポテンシャルを持っている」と示唆に富む問題提起を行った。この後の基調講演では、林野庁の牧元幸司長官力《林業の成長産業化に向けた経年での取組み成果(数値状況)や、世界からみた日本林業の特色（とりわけコスト構造)、林業の成長産業化に向けた改革の方向性について説明した。こうした地道な啓蒙活動は確かに大切だが、国産材の利用拡大を真剣に考えるならば従来型の補助金行政とは異なる、新たな経済的ィンセンティブ政策が求められるのでないかとも感じる。