Marcellusシェールガス開発による地下水水源汚染事例の評価

摘要

米国では、頁岩(シェール)貯留層から、天然 ガス、コンデンセートおよび油を抽出するため、 水平坑井掘削技術と、大量の水と、少量のゲル、 酸、殺生物剤および他の化合物を含んだ砂による 掘削流体を用いた大容量水圧破碎(HVHF)が併 用されている。シェールガスが豊富な Pennsylvania州のMarcellus層では2004年から HVHFが始められ、2014年10月時点で8,000以上 ある油井の約7096がHVHFで掘削されている。 このようなシェールガスの急速な開発は、汚染物 質の表流水への流出や地下水源への様々な影響に つながるが、報告例はわずかである。本研究では、 Pennsylvania州Bradford郡南東部の、一般家族が 利用している地下水水源がMarcellusシェールガ ス開発によって汚染されたと州の環境保護局が結 論付けた井戸水の分析データを提供する。井戸水 中の汚染物質を調査するために、GCで分離不能 な炭化水素混合物(UCM ： Unresolved@@ Complex@@ Mixture)とシェールガス関連汚染物質(2-BE ： 2-n-ブトキシエタノール、界面活性剤)の分析 を行った。また、井戸水の発泡についても報告さ れており、その原因物質を調査するため、包括的 二次元ガスクロマトグラフ飛行時間型質量分析法 (GC×GC-TOFMS)を用いてng/Lレベルの有機化 合物の分析を行った。知見の無いHVHFの随伴 水(油•ガスの生産に伴い副次的に生産される地 層水)についても調査した。