新読:今、読みたい一册「人間の経済」

摘要

胸に届く仙人鬆、汗染みたランニングシャツ、短パン、背にリュック…。東大赤門前を駆け、車社会に身をもって抗議する異形の印象は、30年後の今も強烈だ。 数理を極め、ノーベル経済学賞に最も近い日本人に擬せられた、宇沢弘文教授(1928-2014年)が生涯最後に迪り着いた結論、「社会的共通資本」。 すべての人々が、豊かな経済生活を営み、優れた文化を展開し、人間的に魅力ある社会を持続的に維持可能にする社会的装置だ。