有明海•八代海の生物多様性とその問題点一干潟•塩性湿地の底生生物を中心に一

摘要

有明海•八代海は，九州の西側に位置し，南北に連な る2つの海域である（図1)。両海域は緯度的には異なる ものの共通点が多く，その物理的環境は，「強い閉鎖性丄 「日本最大の干満差」，「速い潮流」，「浅い水深」などで特 徴づけることができる。また，両海域には，多くの一級 河川が流入しており，河川からもたらされた大量の砂泥 が，浅い海域に「広大な塩性湿地•干潟•潮下帯」を形 成すると同時に，「速い潮流」と相まって，大量の「浮 泥」を海域に供給している。さらに，両海域は，日本が 大陸と陸続きだった約2万年前に，『古黄河』の河口に位 置していたという地史的な共通性を持つ。