新しいヴィジョンを描く

摘要

捆文彦（以下，槇）私がはじめてシンガポールを訪れたのは1959年で，1965年のシンガポール 独立前のことでした.ハーバード大学大学院時代に クラスメイトであったシンガポールの建築家，キー· イー プがいて， 東京から香港，シンガポール，イン ド，イラン，そしてシリアの首都ダマスカスへと迎 る西方の旅で彼を訪ねたのです.その頃のシンガ ポールは，店舗や工場の上に住むという，職住が 混在した形式の住まいが並び，今より緑が深かつ た.ラッフルズ•ホテルに泊まったのですが，当時 は目の前が海だったことをよく覚えています.今は 埋め立てられて，海が遠くなつてしまいました.そ れから1972年に，APECというアジア建築家の力 ンフアレンスが始まり，日本からは長島孝ーさんと 私，シンガポールからはウィリアム•リムという今 回の「メディアコープキャンパス」（本誌60頁）の設 計協力者であるDP Architectsの創立者，それか らインドのチヤールズ•コリア，タイのスメット·ジュ ムサイなどが参加していて.彼らと会うために時々 シンガポールへ行っていたのです.