妊娠中の画像検査では，電離放射線を使わずに施行できるmagnetic resonance imaging (MRI)がcomputed tomography (CT)よりも優先される.これまで非造影MRIによる妊婦·胎児の有害事象の報告はなく, American College of Radiology (ACR)のガィドラインでも，妊娠中のどの時期でもMRIは施行可能とされている.しかし安全性を保証する科学的根拠は充分でないことから，日本医学放射線学会の画像診断ガィドライン2016年度版（以下，日医放ガイドライン）では，妊娠中にMRIを施行することの推奨グレードは規定されておらず，検査の推奨度はその必要性に依存するとされている.ただし造影MRIに関しては，2016年9月にカナダ-トロントのSt. Michael's Hospitalの産婦人科による12年間1,737件の胎児MRI(妊娠第1期）の児への影響に関する長期的調査研究で，ガドリ二ゥム製剤を併用して検査.を行つた胎児はMRIを行っていない群と比較して，リウマチ様皮疹，炎症性皮膚症状などの出現が有意に高く，また新生児死亡や死産の頻度も高かったと報告されたことから,今後は推奨されなくなる可能性が高いと考えられる.
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