波動で測る食品の弾性: 空中超音波を用いた青果物の硬さ測定

摘要

近年，高品質な青果物の需要が高まっている。選別工場では青果物をランク付けして，高付加価値のある青果物を選定することで，消費者，小売業者，農家に助言を行っている[1]。青果物の色，重さ，形状，糖度を非接触で測定するセンサが選別工場で利用されている。また，硬さは，青果物の品質を評価するための重要な指標の一つである[2]。選別工場で使われている既存のセンサでは，糖度，色，大きさなどをリアルタイムで測定している。また，現状，硬さは人の手によってのみ選定が可能である。従って，既存センサでのみ選別された果物は柔らかいものと硬いものが混在していることになる[3]。そのため，青果物の硬さを評価するためのセンサが必要とされている。接触式の硬さ計測[4]は広く普及しているが，測定時に青果物を圧縮するため，傷がつき，繰り返し計測や硬さの経時変化の観測ができない。空中超音波を用いた非接触計測は，果物を傷つけずに硬さを評価する方法として期待できる。アレイ化して測定方向を任意に変更したり，音響パワーや周波数を変えた高度な評価手法も期待できる。