高齢者介護施設職員が捉える施設における日常生活環境の概念に関する考察: 写真から読み取る“家庭的な環境”“その人らしい”概念の分析

摘要

高齢者介護施設等で近年多用されている日常生活支援に関する言葉の表現，「家庭的な環境」「その人らしく」などは，現在のところ確立された定義が無く，その概念についての認識は人それぞれであると言える。このような認識の違いは，生活支援を行う上で柔軟性がある反面，職員による価値観の違いや思い込みなどで偏りがあると，ケアサービスの質がばらづき，外部評価を行う場合でも，評価員が施設における日常の生活支援の概念について共有できていない場合，たとえ良質な施設であっても，正しい評価がなされないことが懸念される。良質なケアサービスの質の確保ならびに運営を維持していくためには，日常における生活支援の概念を共有化することは急務の課題であると言える。