軸組架構の実態調査結果を踏まえた京町家の耐震性能評価

摘要

In our research, we aim to provide a document that enable designers to easily recognize concerns which affect aseismic capacity of Kyo-machiya without carrying out frame analyses. To achieve the aim, we carried out frame analyses of typical frames to clarify concerns which affect their aseismic capacity in this paper. We revealed that the breakage of the through-column at the height of the beam or being pulled out and falling off of the beam may be caused depending on the deformation of the frame. These concerns can be solved by making the deformations of the first and second story uniform.%本研究は，伝統的木造建築物の一形式である京町家を構成する架構 の構造的特徴が変形性状や応力状態，局所的な損傷に及ぼす影響を示 すとともに，耐震性に係る懸念事項を明らかにしたものである。京町 家の架構の実態調査を経て架構形式を分類し，それらをモデル化して 数値解析を行い，変形性状，応力状態，損傷状況について定性的に示 している。モデル化方針の妥当性は既往の実験結果を用いて検証して いる。検証の結果，いずれかの階に耐震要素が偏り，変形が集中する 時の通し柱の折損，平面的に耐震要素が偏った時の胴差の引き抜けな どの懸念事項を指摘している。検証結果と懸念事項は直感的にも理解 しゃすいことであるが，本研究のような定量的で丁寧なアプローチは 好ましいものであり，未解明な点がある伝統的木造建築物に多く適用 されたい。このような情報が設計者に広く提供され，共有されること を期待する。 伝統木造建物; 京町家; 構造的特徴; 連層壁; 通し柱