完全房室ブロックにて発症した心サルコイドーシス

摘要

症例：52歳，女性.主訴：労作時息切れ.既往歴•家族歴：特記すべきことなし.現病歴：数ヵ月前から，労作時息切れを自覚した.近医にて徐脈を指摘され，当院に入院となった.入院時現症：血圧136/78 mmHg,脈拍41/分，そのほかに理学的な異常所見は認めなかった.検査所見:心電図は，心拍数41分の完全房室ブロックであった.電気生理検査にてブロック部位はヒス束内であった.胸部X線像,胸部CTにて上縦隔および両側肺門のリンパ節腫脹を認めたため，当初より心サルコイドーシスを疑って精査を行った.血液検査ではリゾチーム(8.4μg/mL),ACE(13.2 IU/L)は正常範囲，ッベルクリン反応は弱陽性，心臓カテーテル検査では正常冠動脈，左室造影にて壁運動異常を認めず，心筋生検も正常で心サルコイドーシスを示唆する所見は認めなかった.しかし，ガリウムシンチグラムにて両側肺門部のリンパ節のみならず，心臓への集積を認め,さらにFDG-PETにて左室の不均一なFDG集積を認め，気管支洗浄液検査にてリンパ球増加(52%),CD4/8比(10.0)の高値を認めた.当時の診断基準(2006年)に照らし合わせて心サルコイドーシスの組織診断群として診断できないものの，臨床診断群と診断した.