持続腎代替療法ではリンの低下に注意する

摘要

75歳，男性.以前から糖尿病，前立腺肥大を認めていた.前立腺肥大については，無治療であった.腎機能はeGFR 40 mL/分/1.73 m2と軽度低下.体重は65 kgであった.数日来続く 38℃を超える発熱を契機に入院.WBC 1,500/mL,CRP 32 mg/dL,血圧80/50 mmHg,脈拍120/分であった.尿•血培からE. coliが検出された.抗菌薬を開始するとともに，輸液管理を開始した.尿量は10 mL/時未満とほぼ無尿の状態となり，持続腎代替療法(continuous renal replacement therapy ： CRRT)を開始した（濾過速度は1L/時に設定した）.呼吸状態も悪化，人工呼吸器管理となった.呼吸状態は改善し，いったんは抜管されたが，酸素化·高二酸化炭素血症を認め，再揷管となった.血清リンを測定され，0.8mg/dLであることが明らかになった.リンの補充(リン酸ナトリウム2 mmol/時)を開始.血清リン濃度の回復とともに呼吸状態の改善，人工呼吸器管理を脱するとともに，8日の経過で尿量の回復,CRRTは離脱した.