まちづくりにおける部分と全体

摘要

ものすごく当たり前な話から入ることになって恐縮だが、まずはコミュニティデザインの現場で強く意識していることをお伝えしておきたい。それは、われわれがその地域にかかわるずっと前からまちづくりは始まっており、われわれのかかわりが終わった後もそれは続くということである。まちづくりというのは、「今からスタートします!」と始めにくいものであり、たとえそういう掛け声があったとしても、実際にはその遥か前から準備が進んでいるものだ。われわれはその途中で呼ばれ、地域にかかわり、途中で去っていく。その間、われわれなりに最善を尽くすし、最高のプロジェクトにしようと努力するのだが、それはわれわれの視点でしかない。現場で「終わりなきまちづくり活動」を続ける当人たちにとっては「必要なときにかかわってくれた人たち」というのがわれわれの存在だろう。また、プロジェクトには複数の専門家がかかわることも多いため、その意味でもわれわれは「数々の専門家の一部」ということになる。さらに言えば、その土地で生活しながらまちづくりにかかわっている当人たちでさえ、まち全体の人口からすれば一部であることが多し、。また、長いまちづくりのタイムラインからすればある一時期にかかわったということになるだろう。いずれは世代交代に腐心することになるはずだ。