12.和と洋の融合が生んだ繊維産業

摘要

平成28年経済センサス（従業者4人以上の事業 者を対象とした調査）によると，岡山県における 繊維工業の製造品出荷額は約2，300億円であり， この出荷額は全国4位（1位：愛知県，2位：大阪 府，3位：福井県）の規模を誇る.また，上位品目 のほとんどが織物製の衣服や制服関連の品目で占 められおり，特に学生服や事務服関連の製造品出 荷額およびシェアが非常に高い.さらに合成繊維帆布，繊維製袋，プレスフェルト生地など産業資 材関連の品目も上位にある（Table 1).このことか ら，岡山県の繊維産業は織物製衣服および織物関 連の産業資材製品に強みがあるといえる.特に織 物製衣服の一つであるジーンズは，今や岡山県を 代表する繊維製品の一つとなっており，近年，ジ ~一ンス'バス，ジーンズストリ一ト，ジ一ンズミユ ージアム，ジーンズヴィレッジ等，ジーンズに関 連した多くの施設等も作られるようになった.他 の産地と同様に岡山県も江戸時代から続く繊維産 地であった.しかしながら，学生服や事務服産業 が発達したのは明治以降のことであり，ジーンズ に至っては第二次世界大戦後に発達した比較的新 しい産業である.岡山県の繊維産業がどのように して形成されたのか，本稿ではジーンズ産業を中 心に紹介する.