近接した側壁を有する平板周りの研究

摘要

一般的に流体力学において物体周りの流れ場を扱う際には，それらは大きく外部流と内部流に分けられる．外部流では飛行中の航空機や翼のように物体は開空間に置かれ，その周りの流れ場と，そこから物体に作用する流体力を考える．一方で内部流ではチャネル流やパイプ流れに代表されるように，閉空間内に納められた流体の挙動とその流れ場から生じる流体力を扱う．物体が空間に固定されている場合には，流体は物体から擾乱としての影響を受けるという意味でどちらの流れ場でも同様であるが，流体がその擾乱源を囲hでいるか，流体が擾乱源に囲まれているかという点で二者は大きく異なる．本研究ではこれらのいずれの特性も併せ持つ流れ場として，壁面の近傍に平板が存在するすき間流れの研究を行なう．この流れ場では，壁面によって発達した乱れが平板と壁面のすき間に入り込むことでさらに発達し，より複雑な流れ場が誘起されうる．工学問題においては，このような流れ場は航空機のフラップやスラット自動車のウイング，屋根上に設置されたソーラーパネルなど，種々の場面で見られており，近年研究が盛hに行われている分野でもある．しかしながら，これらの例において物体同士がある程度離れている場合には解析や実験も容易であるが，非常に近接している場合には解析も実験も難しくなる．また，配置される物体の数が多く，それらの相互作用を扱う必要が生じる場合には当然ながら研究がより難しくなる．