電動車いすにおける座面及び背もたれを考慮した搭乗者挙動モデルの構築と挙動抑制制御

摘要

車いすは，障害者や高齢者にとって身近な乗り物である．また，バリアフリー社会の促進に伴って，長距離移動可能な電動車いすの需要が高まっている．これらの理由から，搭乗者の心的負担が少ない移動手段を目的とした走行中の快適性の向上が望まれている．現在までに行われてきた車いすの快適走行に関する研究の多くは車体に加わる縦振動に着目していた．しかし，縦振動は自動車などの屋外を走行する乗り物において必要な要素と考えられるが，電動車いすは主に屋内や舗装されている歩道を走行するため，縦振動よりも走行による前後方向の揺れに影響されると考えられる．この前後方向の揺れについては，過去の研究で客観的評価により搭乗者上体の挙動と快適性との関係が確認されている．また，別の研究では，斜面走行時の快適性について考察されている．さらに，車いす搭乗者上体の挙動を表現するために，多くの車いす搭乗者のモデルが提案されている．しかし，脚部および車椅子の状態を考慮したモデルはこれまで提案されていない．本研究では，車椅子の状態，特に座面の角度は搭乗者の挙動に影響を与えると考え，によって挙動の変化を確認する． は車における搭乗者の挙動解析として広く使用されている挙動解析プログラムである．次に，これらの結果を元に座面角度及び背もたれ角度を考慮に入れた搭乗者挙動モデルを構築する．最後に，搭乗者の前後挙動を抑制することで快適性の向上を図る．走行制御システムの設計は，車椅子の走行パターンを提案した搭乗者挙動モデルを使用して最適化することで設計する．