汎用インクジェット印刷機におけるポリピロール-シリカ微粒子インクの応用

摘要

プリンテッドエレクトロニクスの分野で、導電性を有するインクを使った印刷やインクジェットプリントへの関心が高まってきている。現状では銀や銅のような金属ナノ粒子を使った導電性インクが主流である。しかし近年は、環境リスクや医療分野への応用を考えた有機導電性インクに関心が高まっている。例えば、有機導電性インクは尿や血液等が付着しても、紙とともに簡単に焼却処分できる。さらに、金属導電性インクに比べ、軽量で腐食しないというメリットもある。加えて、回路の作成工程において銀ナノインクでは焼成(150-200°Cの熱で分散剤を気化させる)という工程が必要である。しかし、有機導電性インクに焼成必要がないため、基盤に使用できる材料の幅が広がる。そこで先行研究では、有機導電性インクとして、有機高分子材料であるポリピロールと無機材料であるシリカ微粒子インクについて研究してきた。しかしこのインクは、静電インクジェツトプリンターでの動作のみ確認されており、汎用のインクジェットプリンターでの動作は確認されていない。