炭酸アルカリCO2吸収液の直接水熱処理による有機物合成と 吸収液再生

摘要

CO2回収貯留技術（CCS）は短期間にCO2排出量を 削減可能であるとされる一方で、エネルギーペナル ティ、コスト、貯留の安全性·持続性に課題がある。 そこで、回収したCO2を有価な有機物に転換するCO2 回収利用（CCU）が注目を集めている。CO2を転換す る方法として、水熱条件下での水とCO2の反応は、水 素を利用しない、光·電気化学的還元と比較して効率 が高いなどの利点がある。 CO2 の水熱変換に関する既往の報告では、 NaHCO3 をCO2 源として使用し、反応後の有機物収率 にのみ着目していた。ここで、重炭酸アルカリ水溶液 はCO2の炭酸アルカリ吸収法における生成物であり、 これをそのまま水熱処理し、ギ酸やメタン等の有機化 合物へ変換し、さらに同時に吸収液を再生することが できれば、CO2 吸収プロセスと組み合わせたCO2 利用 プロセスが実現し、貯留に比べて経済的、環境的に有 利なプロセスとなると考えた（Fig.1）。しかし、水熱 処理後に炭酸アルカリ溶液が吸収液として再生される か、また、再生しつつ有機物収率が最大化される条件 については明らかになっていない。 そこで本研究では、CO2 吸収液の水熱処理による有 機物合成と吸収液再生を同時に行うための最適条件の 探索を目的とする。