三塔式ケミカルループ燃焼システムにおける Ca 改質型イルメナイト系酸素キャリアの 水素生成反応の速度論解析と反応機構の検討

摘要

金属酸化物を利用したエネルギー変換技術であるケ ミカルループ法（CL法）は、CO2の分離回収が容易で あり、次世代燃焼システムとして注目されている。CL 法では、金属酸化物（酸素キャリア）が酸化塔と還元 塔の2つの反応器を循環し、格子酸素による燃料の燃 焼によって熱生成と選択的ガス生成を行う。また、水 蒸気酸化塔を加えてH2生成·貯蔵技術へ応用する三塔 方式（還元→水素生成→酸化）のCL法も広く研究され ている。酸素キャリアとしては安価で豊富な天然鉱物 のイルメナイト(FeTiO3)の利用が検討されているが、 還元反応速度が低く、鉄の偏析に起因する凝集·粉化 等の劣化が課題である。当研究室ではイルメナイトの 粒子内部に O~(2-)伝導体のCaTi_(1-x)Fe_xO_(3-δ)（CTFO）を形 成した酸素キャリア粒子について反応速度及び劣化耐 性の向上に一定の成果を得た報告しているが、この改 質酸素キャリア粒子の三塔方式への応用やシステム全 体への影響評価の検討は行われていない。