自己蒸煮爆砕技術の多様なバイオマスへの適用

摘要

バイオマスを石炭火力発電システムで混焼利用する 前処理である破砕処理法として,弊社では自己蒸煮爆 砕技術の開発を進めている。蒸煮爆砕とは,バイオマ スを1.4～5.9MPa(192～269°C)の飽和水蒸気中で処理(蒸煮)し,圧力を瞬時に開放(爆砕)することで有用物 質を抽出,または,バイオマスを破砕する技術である。 従来の蒸煮爆砕技術は反応容器に直接水蒸気を供給す る直接加熱方式であるのに対し,自己蒸煮爆砕(以下,蒸煮爆砕)技術は反応容器を外部加熱することで,バ イオマス由来の水分を昇圧に利用する間接加熱方式で ある1)(図1)。これにより,従来法より爆砕までに要す るエネルギーの低減,破砕物の水分低減による燃料の 質向上,破砕物の発熱量向上などが可能となる。 本技術はこれまでに,スギ,サクラなどに対し成果 を挙げてきた2)が,木質バイオマスのみの混焼利用は 国内賦存量の観点から現実的ではない。そこで,蒸煮 爆砕技術を適用可能なバイオマス種の拡大を目的に,代表的な木質バイオマスであるスギ,サクラに加え,国内の未利用バイオマス(籾殻,竹)に対する適用可能 性,従来のミルによる破砕を制限する稲わらやバーク といった長繊維性状のバイオマスについても破砕性を 調べ,評価を行った。