除染土壌の放射性セシウム除去に用いるFSI 塩の使用量削減

摘要

福島第一原発事故によって放射性物質が飛散し、多量 の汚染土壌が発生した。この汚染土壌は中間貯蔵施設に 一定期間保管されることになっている。最終的には県外 で処分することになっており、この最終処分量を低減す るために減容化が必要とされている。 我々は含フッ素低温溶融塩(FSI 塩)を用いて土壌中の 放射性セシウムを除去する研究を行ってきた。 これまでは常温で粉末状態のFSI 塩を予め120 °Cに 設定した熱風乾燥機内で溶融させていた。溶融後、汚染土 壌と混ぜ合わせ、前述した乾燥機内で加熱反応させ、反応 後土壌を熱湯で洗浄することで高い放射性セシウム除去 率を得ていた。しかし、土壌とFSI 塩を十分に混ぜ合わ せるために、土壌に対して4 倍(重量比)ものFSI 塩を使 用していた。この現状は経済面·環境面の観点から改善す べきであり、FSI 塩使用量削減は必要不可欠である。そ こで今回は粉末状態で土壌と混合することにより、少量 のFSI 塩での処理が可能となることを報告する。また、 硫酸·硝酸などの強酸性の薬品を添加することにより、セ シウム除去率が向上した事例＊を基に、同じく強酸性を示 すFSI 塩処理後の洗浄液を添加し、除去率が向上した結 果を報告する。