珪藻土とゼオライトを用いた水中のアンモニア除去～学校プールの水質改善～

摘要

プールの水に含まれるアンモニアと浄化剤の塩素が化合すると，人間の目などを刺激するクロラミンという有害物質に変化する。このクロラミンが，プールに入ったときの目の痛みや髪がパサつく原因である。著者らは珪藻土が空気中でアンモニアガスを吸収することを文献調査により知った。珪藻土が水中においても同様にアンモニアを吸収すれば，クロラミンの発生源を絶つことができるため，これらの被害を軽減できるのではないかと考えた。そこで，実験材料として学校近くの企業から提供を受けた珪藻土塗装剤等を使用し，学校のプールの水質改善に向けて研究をおこなった。まず学校のプールの水質を調査し，除去するアンモニア濃度の目標値を1ppm減と設定した。次に，珪藻土塗装剤を用いて作成した珪藻土ペーパーと，珪藻土とゼオライトの両方を含hだ壁紙材である『クリーン ライフプロ』を使用し，アンモニア水中に投入した際のアンモニア濃度変化を測定した。その結果，夏季のプールの水温を想定した27°Cの状態で『クリーンライフプロ』の吸収量が一番大きかったため，『クリーンライフプロ』が水中のアンモニアを除去するのに有用であることがわかった。さらに実用化に向けての持続性と使用方法について検討した。持続性については，クリーンライフプロに持続性を持たせるためのイオン交換による処理や熱処理を検討した。また，使用方法については，表面積を大きくする加工方法を考案した。