福島第一原子力発電所事故由来の放射性ストロンチウムによる陸水環境 における汚染実態の把握

摘要

2011 年3 月の福島第一原子力発電所（原発）事故によって放射性ストロンチウム（Sr）が環境中に 放出され，その沈着量は原発周辺および原発から北西方向の地域（避難指示区域を含む）で多いことが 示されている（例えば，福島県 2013）．しかし，この地域の陸水環境における放射性Sr 汚染実態の解 明は遅れている．その原因には，放射性Sr の環境中への放出量が放射性セシウム等に比べて少ないこ とと共に，放射性Sr 分析法の難しさがある．そこで本研究では，避難指示区域内でかつ土壌中の放射 性Sr 濃度が高いことが予想される地域を流れる福島県浪江町の請戸川において，河川近傍の土壌，河 川水，魚類を対象に放射性Sr 迅速分析法を活用した分析を行い，陸水環境における原発事故由来の放 射性Sr 汚染実態の把握を試みた．