超音波診断装置を用いたベシクル凝集体の破壊に関する基礎検討

摘要

外科手術において，病巣位置のマーキングは正確な切除部位の決定に重要な役割を果たす．また，癌転移の有無を判定する手法としてセンチネルリンパ節生検が実施されており，リンパ節郭清の必要性を判断する重要な検査とされている．本研究では，腫瘍位置マーキング用粒子とセンチネルリンパ節（SLN）同定用トレーサとしての両機能を備えた多機能造影剤の開発を行っている．前者には生体内での滞留性が，後者には拡散性が求められる．この相反する特性を実現させるため，SLN 同定用トレーサを内包した巨大ベシクル凝集体（GCV）を開発している．粒径数百マイクロメートル程度のGCV を病巣マーカーとして滞留させ，超音波の機械的作用を利用しGCVを破壊することで，SLN 同定用トレーサの放出を行う．本報告では，汎用の超音波診断装置を用いてGCV の破壊が可能であるかどうか，超音波造影剤と超音波の相互作用により破壊が促進されるかどうかの二点について検証する．