湖沼における藍藻類および珪藻類の優占化に及ぼす流入水量 および栄養塩濃度の影響

摘要

千葉県北西部にある手賀沼は，1974 から 2000 年ま で全国湖沼水質ワースト 1 であり，毎年夏季にアオコ を形成していた。この沼の水質を改善するために国は 北千葉導水事業を実施し，利根川河川水の一部を手賀 沼に導水した。その結果，アオコ形成種である Microcystis が減少し，手賀沼の優占種はアオコ非形成 種である珪藻類 (Cyclotella)へと変化した 1) 。導水は， 浄化用水を通水するだけの簡便なアオコ抑制方法だが， 様々な環境因子が複雑に作用し，その詳しい抑制機構 は解明されていない。そこで本研究では，手賀沼を ケーススタディとし，導水によって著しく変化する河 川水 (浄化用水)の導水量，栄養塩 (窒素およびリン)， 照度，水温などの環境因子のうち，前者 2 つに着目し， それらが Microcystis および Cyclotella の増殖と優占化 に及ぼす影響について検討した。