結晶サイト工学に基づく新規 Eu~(2+)賦活蛍光体の開発

摘要

白色 LED には青色 LED チップと黄色蛍光体の組み合わせが主流として使われてきたが、赤色領域の発光 が不足し演色性が乏しいため、青色 LED に赤色発光蛍光体と緑色発光蛍光体を組み合わせた LED が開発さ れてきた。近年では Eu~(2+)を発光中心イオンに用いる赤色発光蛍光体が研究されている。Eu~(2+)賦活蛍光体は 4f-5d 遷移により発光し、5d 軌道は結晶場の影響を受けやすいため、その分裂幅によって発光色が広い波長範囲で 変化する。したがって、母体結晶によって発光波長が異なるのが特徴であり、新規の Eu~(2+)賦活蛍光体開発は 母体結晶の探索が重要である。そこで我々は、Bond Valence Sum(BVS)と Eu~(2+)の発光波長の関係について調べ 相関性を定量化し新規蛍光体開発への応用を検討してきた[1]。BVS と発光波長にある程度の相関性が見られ る結果が得られたが、その妥当性について現在さらなる検証を行っている。本研究では複数の結晶構造デー タから新たに BVS を計算し、新規 Eu~(2+)賦活蛍光体母体結晶候補の考察を行った。