マイクロ波放電式イオンエンジンの高比推力化に向けたグリッド設計及び性能評価

摘要

マイクロ波放電式イオンエンジンは，マイクロ波放電により放電室内でキセノンを電離し，高電圧が印加された加速グリッドを用いて，キセノンイオンを静電的に噴射して推力を発生する電気推進器である（図1）．放電用ホローカソードを必要としないため，システムがシンプルであり，ヒータ断線や酸化による劣化の心配がないため耐久性や取扱いに優れている．イオンエンジンは他の推進器に比べ，推進器の燃費の指標である比推力が高く，深宇宙探査機の主推進システムとしてよく用いられている．比推力とは，単位質量の推進剤で単位推力を発生させ続けられる秒数を意味するもので，次元は秒である．イオンエンジンの比推力 _( p)は以下のように表される．I_( p)= _ / (2 )/( )1/2 (1)（ _ ：推進剤利用効率， ：重力加速度[m/s~2]， ：電荷素量[C]， _ ：加速グリッド電圧[V]， _ ：推進剤イオン質量[kg] ）