スケールフリーネットワークにおける奇妙なパロンドパラドックス

摘要

パロンドゲームは，確率的に負けるように細工されたコイントスゲーム（losing game）群から構成されるゲームとして，Parrondoによって導入された．元もとのパロンドゲームは，一人のプレーヤーによってなされる二つのlosing game A，Bから構成されている．ゲームAでは，確率的に負けるように工夫された一つのコイン（losing coin）を使い，ゲームBでは，プレーヤーの所持金に応じて，二つのコインを使用する．そして，プレーヤーが個々にこの二つのゲームを続けると，平均して所持金を失うようになっている．しかしながら，プレーヤーがこれらの二つのゲームを適当に組み合わせて行い続けると，平均的に所持金が増えていくことがありうることが指摘された．これがパロンドパラドックスといわれている現象である．パロンドゲームの本質は，コインを使うことではなく，二つのゲームの勝率のみによっているということである．ゲームAの勝率，及びゲームBにおける二つの勝率（二種類のコインを使うことに対応）である．従って，パロンドゲームは，ゲームの詳細によらず，勝率のみが与えられている汎用な設定における現象に適用可能である．