ユビキタス環境下における超分散生産システムシミュレーションに関する研究（第２報）－超分散生産システムシミュレーションの枠組み

摘要

近年の情報通信技術の発展に伴い，工場で稼働している多くの機械設備のインテリジェント化は進み，ユビキタスな環境下におけるシステム化，統合化が急速に進みつつある．これによって従来の中央集約的な生産管理運用体制から，水平分権的な運用への展開も進められている．これにより実稼働中の生産システムのモニタリングから得られる実時間的稼働情報に基づく効率的なシステム運用の実現が望まれている．シミュレーション技術は従来から生産システムの設計に広く用いられ，大きな成果と実績を挙げてきた．しかし，生産システムの運用段階においては，生産計画の立案や，当日のスケジュール作成などで利用されているものの，実稼働中において随時シミュレーションを行う状況にはなっていない．本研究では，生産システムのユビキタス環境をフルに活用したシミュレーション技術について構想し，その有用性について考察する．本報告ではまず生産システムの稼働時における従来のシミュレーション技法の問題点について概観し，その解決法として超分散生産システムシミュレーション{1,2}の可能性とその枠組みについて考える．