反復計算に基づく埋め込み境界{熱流動格子ボルツマン法の提案

摘要

埋め込み境界法(Immersed Boundary Method, IBM) (1)と格子ボルツマン法(Lattice Boltzmann Method, LBM) (2)が組み合わされたImmersed Boundary-Lattice Boltzmann Method (IB-LBM) は，多粒子沈降などの固液二相流解析に対する有効性が 示されており，様々なモデルが提案されている(3, 4, 5)． IB-LBM で観察される緩和時間の増加とともに発生する 流速の滑りの除去に，Two Relaxation Time (TRT) (6) 衝突則に有効であることを，林は数値計算により実証 した(7)．TRT 衝突則を適用したImplicit velocity– correction method は，緩和時間とともに増加する境界 値のずれを除去できる(8). Zhang は繰り返し計算に基 づくIB-LBM によっても，多緩和時間衝突則を適用すれ ば，流速の滑りと境界値のズレとを除去できることを， 数値計算により示した(9)．IBM が適用された熱流動格 子ボルツマン法(Immersed Boundary–Thermal Lattice Boltzmann Method, IB-TLBM) においても，緩和時間 が増加すると，温度の跳びが発生することが分かってい る(10)．本研究では，繰り返し計算に基づくIB-TLBM を提案し，温度の跳びの除去に対するTRT 衝突則の有 効性を検証する．Porous-plate problem，Cylindrical Couette flow，Natural convection 等のベンチマーク問 題を用い，本計算手法の計算精度，数値的安定性，熱流 動解析への適用性等を検証する．また，格子間隔に反比 例して緩和時間の値が大きくなるMulti–block 法への本 IB-TLBM の適用性も検証する．