容量料金の導入が一般家庭に与える影響の等費用集合に基づく一分析

摘要

近年, 電力流通設備の利用に係る託送料金の見直しが国内外で議論されている. そこでは, 流通設備の効率的な利用を促す料金体系のあり方が議論されると同時に, 設備投資に係る費用の回収方法が論点となっている. 特に, 送配電事業者が既に投資を完了した設備に係る費用は, Residual Costなどと呼ばれ, 将来の系統利用状況とは関係なく系統利用者が公平に負担すべきという指摘 がある. この点に関して, 従来の従量料金には限界があり, 容量料金や時間帯別料金などを活用した託送料金の再設計が課題となっている.本報告では, 料金体系の変更が需要家の負担する費用に与える影響を検討するために, 各需要家からの託送料金の回収量が不変となるような価格の集合を用いた分析方法を提案する. 特に, 家庭部門における容量料金の導入を想定し, 従量料金単価と容量料金単価で構成される価格平面における等費用集合(等回収量集合) を可視化し, 同集合に基づく分析方法の有効性を示す.