マッチング条件を仮定しない離散時間非線形系に対する閉ループ系の平衡点の部分漸近安定性を保証する適応学習制御手法

摘要

本研究では，マッチング条件を満たさない離散時間非線形システムに対して，閉ループの安定化を保証する新しい適応学習制御手法を提案した．提案手法においては，フィードバックゲインだけでなくフィードバックゲインの更新則に含まれるパラメータも逐次的に調節することで，閉ループシステムを安定化することを可能にしている．また，リアプノフ関数を用いることで，部分安定性の理論により状態xが0に収束することを示した．最後に，数値シミュレーションを行い，提案手法の有用性を確かめた．本研究で提案した適応学習制御手法は，システムの状態xに関する局所的な漸近安定性しか示せていない．そこで今後の方針として，システムの状態xに関する大域的な漸近安定性を保証するような制御手法を提案することが挙げられる．また，提案手法における領域Dの見積もりを行うこと，入力により打ち消せることが保証されていないような不確かさが非線形である場合の適応学習制御手法を考案することも今後の方針として挙げられる．