ソノポレーション法とチャネル遺伝子を用いた末梢循環障害の新規治療法の確立作成について

摘要

外来遺伝子を封入したナノバブルに超音波を照射すると，遺伝子が宿主細胞に導入される現象（ソノポレーション）は，非ウィルス的な遺伝子導入法として近年，注目されている．ナノバブルに超音波振動が加わると破砕やキャビテーション気泡を誘起して衝撃波および液体ジェットなどの衝撃圧が発生する．この衝撃圧が宿主の細胞膜に数マイクロ秒間作用し宿主細胞膜の立体構造を変化させ一過性に細胞膜表面に孔を形成し外来遺伝子は低侵襲的に導入されると考えられている．この技術は非ウィルス的な遺伝子導入法であるため，1）免疫反応を起こさず，２）遺伝子の繰り返し導入が可能であること，3）超音波照射部位のみに遺伝子が導入されるため，局所の遺伝子導入が可能である等の利点があり，今後，血管内治療に対しても応用可能な遺伝子導入法であると考えられている．