炭素繊維界面でのポリアミド6の結晶構造とポリアミド6／炭素繊維複合材料の力学特性

摘要

炭素繊維強化複合材料（CFRP）では、リサイクル性の観点から熱可塑性CFRPの利用が望まれている。熱可塑性樹脂の中でも、結晶性樹脂は固有の結晶構造を形成するため、樹脂の結晶構造が炭素繊維との接着性に及ぼす影響を明らかにする必要がある。これまでに、射出成形品のような短繊維ランダム強化形態における樹脂の結晶構造を評価した事例は多々あるが、長繊維強化形態でかつ、炭素繊維を多く含hだCFRPにおける樹脂の結晶構造を評価した例は非常に少ない。これまでに、ポリアミド6（PA6）と炭素繊維（CF）の連続繊維強化複合材料の繊維軸直交方向の引張特性において、CFの表面状態によって、CF界面での界面破壊、CF界面近傍のPA6層での樹脂破壊をすることが示されている。また、界面破壊したPA6/CFの伸度は、樹脂破壊をしたPA6/CFと比較して、小さいことが示されている。本研究では、CFの表面形状の異なるPA6/CFの一方向強化材（UD材）の衝撃特性と、CF間のPA6の結晶構造の関係を検討した。