塩基性硫酸マグネシウムウイスカ充填ポリプロピレンの力学的特性に及ぼすナノシリカ粒子分散の影響

摘要

ポリプロピレン(PP)は汎用プラスチックであり，成形加工性に富み，かつ力学的特性に優れることから自動車，電化製品，医療，食品など多様な分野で使用されている.特に自動車分野では部材の軽量化を目的として，部材の樹脂化が進hでいる.剛性の必要な箇所に対する樹脂化を行う場合，PP単体では部材を厚く設計する必要があるために他の無機フィラーとの複合化が行われる.複合化に使用される無機フィラーの一つに塩基性硫酸マダネシウム(BMS)ウイスカがある.BMSウイスカはガラス繊維(GF)と比ベて比重が小さく，かつGFと同等の剛性向上効果を有するが，繊維長が短いために耐衝撃性を発現することが難しい.一方で,著者らはPPにモンモリロナイト(MMT)を複合化した材料について，第3成分として炭酸カルシウム微粒子を分散させることで耐衝撃性の改善が可能であることを見出している.本研究ではPP/BMSウイスカ複合材料に第3成分としてナノサイズのシリカ粒子を分散させた材料を作製し，その曲げ特性と耐衝撃性を評価した.