大気圧プラズマを用いた狭ギャップチャネルカット結晶 X 線モノクロメータの無歪み内壁エッチング法の開発

摘要

近年登場した，超高ピーク輝度とほぼ完全な空間可干渉性を有する超短パルスX線光源である硬 X 線自由電子レーザー（X-ray Free-Electron Laser；XFEL）や，現在開発計画が進行している SPring-8-II のような次世代低エミッタンス放射光源により，更なる高感度測定·高エネルギー分解能分析実験が可能となる．そのような先端的 X 線実験に対して要求に応じた光を供給するため，X 線ビームを加工する結晶モノクロメータが多くの放射光施設のビームラインに常設されている．結晶モノクロメータでは，入射した白色 X 線のうち，ブラッグの法則を満たす特定のバンド幅のみを有する X 線が反射される．最適な回折面を採用することで任意のバンド幅を持つX 線の供給が可能である．現在の放射光施設では，平行配置した二つの結晶素子により元の光軸と平行な単色 X 線が供給可能である二結晶分光器（Double Crystal Monochromator；DCM）が主に用いられている．しかし，独立した素子で構成されるという構造上の不安定性により，出射 X 線ビームの角度，エネルギー等のドリフトが大きな問題となっている．