製販一体型のグローバル生産システムにおける 組合せオークションを用いた受発注計画の最適化手法に関する研究

摘要

近年，国内市場の成熟，企業間競争の激化，消費者ニーズの多様化により各企業はグローバル化を強いられてきた．さらにその中でも従来の安価な労働力を利用した拠点から，対象とする市場の周辺に製造·販売拠点を移行する企業が増加している．このように世界各地に拠点が散在している生産システムをグローバル生産システムといい，そこでは生産現場や販売部門といったサプライチェーンの各要素の個別最適ではなく，製造現場から販売部門に至るサプライチェーン全体最適を指向した受発注計画の重要性が高まってきている．また製販一体型のグローバル生産システムにおけるSCM（Supply Chain Management）の研究も近年なされている．従来のSCMシステムでは，システム全体をまとめて集中管理型の意思決定が行われてきたが，製販一体型のグローバル生産システムのような大規模かつ複雑な生産システムを対象とする場合，集中管理型の解法では迅速な意思決定を行うことが困難となる場合が多い．この問題を解決する方法として，生産システムの構成要素に意思決定機能を持たせた自律分散型の最適化手法が提案されている．そして組合せ最適化における資源配分問題の最適化手法の一つとして組合せオークションがあり，我々は組合せオークションを受発注計画問題に適用した．本論文では製販一体型のグローバル生産システム全体の最適化を目的とする．製造拠点でのK工程フローショップスケジューリング問題を対象として組合せオークションを用いて，販売拠点間の製造割合を考慮し，サプライチェーン全体の利益額を最大にする受発注計画の立案を目指す．