広視野カメラと狭視野カメラを併用した高精度広範囲アクティブ工具位置決めシステムの開発（第1報）－位置決めシステムの構成と基礎実験

摘要

近年，ビジョンシステムを応用した位置決めの研究がよく行われており，加工の自動化，位置決め装置の制御などの事例が報告されている．CCD カメラで物体の位置計測をする場合，レンズ収差や解像度の限界により測定範囲が広くなれば測定精度が低下してしまう．たとえば，500×500mmの範囲にあるターゲットの位置を30 万画素のCCD カメラで測定した場合，分解能から推定される測定精度は数百μm になってしまうこともある．また，撮影範囲の1%に相当するレンズ収差がカメラ·レンズ系に含まれるとすれば測定誤差は約5mm となり，測定範囲に対して位置決め誤差の割合が大きくなり実用性を損ねてしまう．そこで，本研究では，広視野カメラと狭視野カメラを併用することで，広範囲においても高精度な測定が可能なシステム，ひいては工具位置決めシステムの開発を試みる．本報では，初等段階として，XY 平面上で直動ステージを用いて，ターゲット上にビジュアルフィードバックによりアクティブに位置決めする基本システムを構成し，基礎実験を行ったので報告する．