集合近傍における移動座標系をもちいた非線形システムの解析

摘要

本稿では，非線形システムの安定な不変集合まわりの挙動を扱う．上述の周期軌道に対する移動座標系による表現のように，システムの状態に対して座標変換をおこなうことにより，その挙動を集合に垂直な成分と集合表面に投影した成分をもちいて表現することを考える．ここで，不変集合としては，状態空間と同じ次元の広がりをもつコンパクトな集合を考え，その表面は曲面として表わされるとする．曲面は，局所的には座標変換により，座標軸に直交する平面として表現可能であることが知られている．本稿では，リアプノフ関数と同様の関数の存在条件の下，境界面を覆う座標系の族をもちいて，不変集合全体のまわりの挙動を記述することを考える．このとき，変換後の座標系において，状態の軌道は特定の座標軸方向の状態成分が，平面まで単調に減少していくようなものとなる．