キャビテーション·ショットレス·ピーニングによるCVT スチールベルト用エレメントの疲労強度向上

摘要

ベルト式無段変速機（CVT）に用いられているスチールベルトを構成するエレメントには，トルク伝達時に曲げ負荷が作用する。エレメントの曲げ強度に対する疲労強度がベルト式CVT の伝達トルク限界の一因になっており，エレメントの疲労強度向上が望まれている。疲労強度向上の一つの手段としては，ショット·ピーニングなどが用いられているが，エレメントのピーニングを要する部位は，エレメントの形状からショット·ピーニングを施しがたい部分である。近年，キャビテーション気泡の崩壊衝撃力を活用したキャビテーション·ショットレス·ピーニング（CSP）が提案され，圧縮残留応力導入や疲労強度向上などが実証されている。CSP では，キャビテーション気泡を流し込hでピーニングを要する箇所で気泡を崩壊させればよいので，細管内面などのショット·ピーニングを施工し難い領域も容易にピーニングできる利点がある。またCSP ではショットを用いないので，コンタミネーションの問題も発生しない。よって本報では，CSP によるエレメントの疲労強度向上を目的として，CSP 処理したエレメントを疲労試験に供した。また疲労強度向上の要因を明らかにするために疲労破壊する部位の残留応力をX 線回折により計測した。