蒸気コーティング法によるAl-Zn-Mg合金上への複合水酸化物皮膜の作製とその耐食性評価

摘要

Al－Zn－Mg合金は，アルミニウム合金中で最も高い強度を有し，かつ軽量な合金である。そのため，様々な分野への利用が期待されている。しかし，高強度化するために必要な種々の添加元素の存在がAI－Zn－Mg合金の耐食性を低下させている。このため，Al－Zn－Mg合金の耐食性を向上させるための新たな表面処理技術の開発が必要である。層状複水酸化物(LDH）はインターカレーション機能を有しており，塩化物イオンを捕捉することが可能であるため，耐食性の向上に有効な材料である。蒸気コーティング法は，密閉性の反応容器内にて金属と水蒸気の反応によって，金属由来の水酸化物や酸化物を合金表面に形成させるプロセスである1）。本研究では蒸気コーティング法を用いることで皮膜の耐食性向上に有効なLDHを皮膜中に含有した複合水酸化物させるための条件を探索し，作製した皮膜の耐食性を評価することを目的とした。