30GPaで衝撃圧縮したNiTiの物性変化

摘要

高速衝突による衝撃圧縮は物質に超高圧をもたらすだけでなく、超高速の塑性変形および温度上昇が生じ、断熱膨張過程で圧力開放された後には他の手法では得られない特徴的な内部状態変化が残留する。衝撃圧縮は、物質の高速応答のダイナミクスを調べるための不可欠な手法として利用され、物質中での衝撃波伝播挙動などが調べられている。一方、その極限環境的なプロセシングは新物質の創製、材料の改質などの方法としても有益であり、材料プロセシングとして潜在的な可能性を有している。ここでは相変態に起因する形状記憶現象を示すことでよく知られたNiTi合金に着目し、その相変態挙動の変化から衝撃処理の残留効果に関する基礎的知見を得たので、報告する。