流速分布計測法を用いた伝播時間差式流量計測法のキャリブレーションシステムに関する基礎研究

摘要

しかし，UDMは原理上，超音波反射体が必要であるため，原子炉給水系において常時計測は困難な場合が考えられる．そこで本研究では流速分布に依存して測定誤差を生むTOF流量計のPFを，UDMを用いて校正することで流速分布変化に依存しないキャリブレーションシステムの有効性を実験的に検証する．これまでアクリル製配管におけるキャリブレーション効果について検証してきた．今回は工業用配管での計測を視野に入れて金属配管で計測を行う．金属配管内流量計測を行う場合，以下に述べる留意点がある．金属配管は従来用いてきたアクリル製円管に対して超音波透過率が極めて小さいため超音波入射条件によってはS/Nが悪化するため，計測が困難となる．金属壁内部で超音波パルスがモード変換によって，複数の超音波パスを生む．また，モード変換によって発生したレイリー波によって超音波屈折角度が変位する．以上のことから，UDMやTOFといった斜角で超音波を発信するような計測法では超音波の透過率，伝播経路と超音波パスの本数が計測に大きな影響を与える．そのため，超音波パルスの金属平板透過挙動について実験的に調べ，超音波流量計測に適用する．