分散系ER流体のERバルブ流れと点字表示用凸ピンマイクロアクチュエータへの応用

摘要

本研究では，ERバルブの完全閉鎖が可能な粒子分散系ER流体を作動流体とするマイクロアクチュエータを用いた点字表示システムを構築することを目的としている．指先をその上に置くだけで，点字が次々に変化して表示され読み取れるシステムである．音声を用いられないような静粛な環境で視覚障害者に多量の文字情報を伝達する手段として有効となる．このようなシステムを構築するには，10mm四方程度の限られた微小スペースに6個の凸点からなる点字を表示し触覚として伝達しなければならず，ハイパワーで微小なアクチュエータが必要不可欠であり，ER流体マイクロアクチュエータを用いることによって実現が可能と考えられる．ここでは，点字表示システムの1つの触知ピンを駆動するER流体マイクロアクチュエータを開発することを目的に，まずその設計の基礎となる微小間隙をもつマイクロERバルブの圧力制御特性とその流動特性について検討している．その結果に基づいて1つの触知ピンを駆動するマイクロベローズを用いたER流体アクチュエータを設計し，フォトリソグラフィ法によって製作してその性能について検討している．