配管減肉保全管理の高度化に向けた研究調査活動 (5.減肉管理への漏洩リスク評価の適用可能性の検討）

摘要

2015年度から日本機械学会の動力エネルギーシステム部門所属分科会として活動している「配管減肉保全管理の高度化のための調査研究分科会」では，配管減肉の保全管理全体を高度化するための具体的な方策について調査研究を行っている.本分科会に設置された「技術知見拡充WG」では，将来の規格高度化に資する目的で，関連する技術の最新動向を調査し，技術資料として取りまとめを行っている.これまでのWG活動においては，減肉機構解明や減肉速度予測技術，減肉検査手法等に関する調査が先行していた一方で，減肉管理の判断基準に関する分野は後続の調査項目となっている.WG活動の中で行った現状の配管減肉管理に対するニーズ·課題調査では，「漏洩リスクに基づいた評価」の調査が望まれている.例えば，負圧配管で液滴衝撃エロージョン（LDI) が発生し得る箇所や小口径配管といった，漏洩事象を想定しても比較的小規模であると考えられる系統に対する減肉管理の緩和方策や，配管系統ごとの漏洩リスクに応じた検査資源の最適配分方策等が挙げられる.特に米国では，リスク情報を活用した供用期間中検査（RI-ISI)に関連した配管管理の枠組みが存在し，米国機械学会の事例規格（Code Case)として取り扱われており，実プラントでの適用実績もある.国内でこのような方策·方法論を検討するためにも，関連知見を集約することが求められている.本発表では，分科会におけるWG活動の一環として実施した，漏洩リスク評価に関する既存知見の調査内容について報告する.